「春待ちの姫君たち」 友桐夏 C+

デビュー作「白い花の舞い散る時間」と「盤上の四重奏」に、リリカル!と思いながら魅了されてしまった作家さん。先のシリーズとは別になる作品です。
気弱な少女「赤音」と、その友人が織り成す、友情と、パワーバランスとの物語。ネタバレ読んでしまうと衝撃が薄れるので、この作品も興味があるなら何も知らずに読むのが正しいかと。私は先にネタバレ読んでしまったので、ちょっともったいないことをしたと思っています。

「あなたにだけ、私の名前を呼んでほしい」「あの子と遊ぶの、それともこちらの仲間になるの」ってあたりが女の子で女の子で、読んでいて胸が苦しいわー。誰もに未熟さがあり、だれかひとりを責めるべきでない少女たちの造形は、私にはやや痛々しかったです。
少女らしいいたいけさと残酷さの共存は、偶像的ながらリアル。そういうのがお好きな方はぜひぜひ。