「瑠璃の契り」旗師・冬狐堂 北森鴻 B-

蓮丈那智の作品にも強くリンクしてくる「冬の狐」ことひとすじなわではいかない骨董屋(お店を持たない骨董屋が旗師というそうな)、陶子さんが主人公のシリーズです。陶子さんはこないだ読んだ「深淵のガランス」のほうにもリンクしてます。

ずいぶん以前冬狐堂シリーズも読んだことあったはずだ、という記憶はあるんですが、どれを読んだかまったく覚えておらず。この作品読み終わってから、あらためて順番を確認してみましたが、「緋友禅」「瑠璃の契り」「狐闇」「狐罠」で読むのがよかったらしい。

とりあえず「陶子さんのパーソナリティ」を理解していれば困りはしませんでした。連作短編です。全体に漂う暗い色合いと、どこか知識がモザイクになったような感触が私には読みやすくはないのです。が、なかのひとつ「苦い狐」が好きなタイプの物語だったので、B-な読後感です。(なぜ美大に通いながら、絵描きにはならなかったのか?芸術とは?みたいなテーマ)

あと、陶子さんと仲良し・同類っぽい写真家の硝子さんが大変よい味を出していて、二人で酒飲んでる場面はとてもよいですね。女二人の図に普段ときめきを覚えない私なのですが、この二人はなんだか好きです。