「朧の森に棲む鬼」 A+

改めて、忘れないうちに感想をー。

2時間前に着いたところ、当日券はもうなくてキャンセル待ち。でもS席中央かなり前の席のキャンセルが出て、隣を阿部さんが歩いてくれたりしてとってもラッキー。役者さんの表情がはっきりはっきり見える良い席でした。

ある男。口先だけで世の中を渡っている男。それが、「朧の森に棲む鬼」と契約して、二枚舌と同じだけよく動く剣を手に入れる。彼の望みは天下をとること。鬼の望みは彼の命。そして、それは彼が自ら命を絶ったときのみ、鬼の手にはいる。




********************************以下、内容に触れておりますので、それでもよろしければどうぞ〜〜*****************************************





男、その名も「ライ」を演じたのが染様なわけですが。今までで一番見ていて素敵でした!……ったって、私はいくつも見ているわけではないのですが。しっくりと溶け込んで融合している感じ、このひとは今演じているのだと忘れさせる感じ、俳優さんのことをすっかり忘れる感じがあると舞台は見ていて本当に楽しいのだけど、全体にその雰囲気が濃厚で、うっとりうっとりしていました。願わくば、ライを兄貴分としたう、力だけが自慢のキンタ=阿部サダヲ氏の存在が、もうちょっとライとの信頼関係というか、補いあう関係というものを感じさせるものであってくれると、最後の場面がどきどきしたかなあ・・・と思います。補いあってて、とても必要そうに見えるものを「裏切る」ほうが舞台中盤の場面もどきどきしたと思うし。
あと、一見さんとしては「何故歌うのかがわからない。。」気はしたりー。唄の音がちょっと大きすぎる気も。逆に、劇中音楽はどれも好みでした。

なんていいつつ、良かったです、ほんとにほんとに十分満足したから。

あとは、秋山さん=ツナのりりしさにはもうほんと惚れた!もういるだけで立ち居振る舞いだけで、べるばらのオスカルさまのような素敵オーラが出てましたわー。古田さん=マダレと一緒にいると、その二人ばっかり見てしまうようなたたずまいがあって、役にもぴったりでした。秋山さんのツナの佇まいには、台詞がなくても知性のある感じ。があって。美しかったー。


ラストシーン。なんとなく、「贋作桜の森の満開の下」を思い出してた。国と人、人と鬼、追うもの追われるもの。
一番大好きな舞台で、「この鬼が男の人だったらどんななんだろう?」と思ったことがあり。その回答の一片を見たような気がしました。ライは、鬼を引き寄せる素質はあったんだろうけど、最初から鬼ではなかったんだろうと思うので、一片、って感じ。
魔は女、というおはなしが多いなかで、魔の男、という定義は魅力的で、落ちて落ちて落ちる姿がむしろ色っぽく、変わっている衣装につれて雰囲気と存在と立ち居振る舞いが変化していくさまが美しく・・ほんと、素敵だったなー。

あと、なぜか胸にきたのが、大王=へちゃむくれ(笑)=田山さんの、最後のことば。
「大丈夫。これ、飲むからさ。だから聞いて。
 シキブはね、浮かれ女だから、良いと思うよ。たくさん恋をすると。
 でもね、あの男は、やめとけ。」
うろ覚えですが、あの場面、きゅううううんときましたよ。
あとあと、ほとんど台詞はなかったですが、ツナの旦那さん(役名忘れちまった)が格好よかったです。美しいお姿でした。


ということで、良い舞台を見させていただきました。ありがとうございました!