「中庭の出来事」 恩田陸 A

面白く最後までよめて、ほーっとした（なんだそりゃ）。なんだかんだいいながら好きで、新刊出るとすぐかって読んでしまうんですけどね。

今回のテーマは、演劇で脚本。随分昔の作品からちらちら見えていたモチーフ。
「ある事件が起こった。ある人間がもう一人を刺した。その事件にはたくさんの目撃者がいた。しかし、一人一人に話を聞くと、なぜかみな見ていたものが違うのだ。直前の様子や、二人の年恰好さえ。いったい本当は何が起こったのか？」

という演劇を作中人物が演じる。というモチーフ、これはずっとちゃんとやるとどうなるんだろうなー、と気になっていたのです。扱われるのは「衆人環視のなかの毒殺」と「町の中の突然死」なので、まったく同じわけではないですが。

一つの出来事をいろんな人間で表す＝一つの台本をいろんな人間が演じる、ということで小説という器を脚本みたいに扱ったのは面白かったなあ。
あとは女優さんたちの台詞回しがもうちょっとナチュラルだったらなあ。一番苦手な作品「夏の名残りの薔薇」みたいなわざとらしさが・・。

ところで「ライオン」の出てくるリドルストーリー。あれって某ゲームかな。それとも「女か虎か」みたいに有名なモチーフなのかな。なんかその部分だけヘンにひっかかってしまった。