「災厄」 永嶋恵美 B+

ただいま一押し中(誰にむかって?)。物語の動きとか人を見る目とか。それ以上に文章がすごく好き。読んでいてまったく私に負荷がかからない。
「せんーさく」「転落」「一週間のしごと」「白銀の鉄路」と読んでいます。ジュブナイル好きには「一週間のしごと」『相棒』好き(テレビ朝日的な意味で)には「白銀の鉄路」をおすすめ。(というよりは、右京さん好きには、かなー)

で、「せんーさく」「転落」「災厄」は、意図して音をそろえているのか、精神の糸がきりきり引っ張られるような世界。怖い。世界にぽっかりあいた落とし穴と、人の中に必ずある悪意。東野圭吾とか貫井徳郎とか読む時の感覚に似ているでしょうか。

今回の題材は。。なんだろう。どこに人の悪意があるか、の話だろうか。とりあえず妊婦さんは読まないほうが良いような気がします。高校生の少年が、ある妊婦を殺してしまうところから物語が転がります。そして、読者も一緒に巻き込まれる感覚。物語の着地点が私の想像とぜんぜんぜんぜんちがったので、それがすきだと思いました。

とりあえずとある弁護士さんととある弁護士さんの関係に萌えた。とだけ書き残しておきましょう。最後の最後で鳥肌がたったよー。以下ネタバレ感想。
「自分以外の者の悪意が尚彦に向けられるなど。この既得権を他人に渡す気はさらさらない。」・・・なんというか、西田東さんとかに描いていただきたい世界でした。山田ユギでも可。