「行きずりの街」 志水辰夫 B-

学生のころから、ずーっとなんなんだろうなーこのひと、と思いながら、手をつけてなかった。
読むものがなかったので、購入して読了。
都会の冬の、ロマンティック・ハードボイルドでしたが、夏の終わりのけだるさには良く会いました。
91年の”このミス1位”
木曜組曲」でいわれてたみたいな、「ハードボイルドの帯は同じ文章でまとめられるよ」的な典型パターンをふくみつつ、かつ、主人公の甘ったるい甘ったるい甘ったるい自己中心的ナルシズムがあってなお、とりあえず最後までよんでやる!と読んじゃったもんな。うーん、でも文章とか、文体とか、ほめる気はしない。不思議です。
読了してとにかく、主人公だーいっ嫌いだわ私。
ずっと、自己憐憫で、自己愛。それは正直ということなんだろうか。でも、正直であれば許されると(作中人物は少なくとも)思ってる時点でうがー、うががが、とはなるな。

本の雑誌とかで、90年代、いろいろかかれてたなあ、すきとか嫌いとか、吉野朔実さんの漫画エッセイにも、読んだ人の意見がまっぷたつってやつとかあったなあ、とかとか・・・

読んだことがないのに、そんな記憶のせいで、なぜか「なつかしい」一作でした。

ロマンティックな男たちが、ナルシズムを満たすために読むがいいさ!なんか腹が立つけど、それは悪いことじゃないと思うのだ。

ただ、わたしは、きらい。