「ふたつめの月」 近藤史恵 B

予備知識なく手にとったら、知っている作品の2作目でした。
「賢者はベンチで思索する」の続編です。題名の脈絡と、どこにも注意書きがないところとで気づきませんでしたよ。主人公は、物語冒頭でいきなりリストラされてる女の子・久里子。安楽椅子探偵的な謎の老人・赤坂が日常の謎に答えを導き出すタイプのお話。連作短編。日常の謎ながら、どこかネガティブな色合いを含んでいるところが近藤さんぽいかも。
読みながら非常〜に、少女小説!ということばが頭のなかをぐるぐるしていました。主人公、リストラってくらいですから20代なんですけれども、非常に少女、なんですよね。近藤さんの描かれるおんなのひとって、多く「いくつになっても少女」だと思います。久里子は、割と綺麗にゆがまずに書かれているから、読んでいてさわやかな読み心地ではありますが、でも、少女です。
少女小説だから、幼くても、失敗しても、少し成長し、そして展望が少し明るいのです。だから心地よい、だけど幼い……そんな、印象。