「ママの狙撃銃」 荻原浩 C+

ある一人の女性。園芸が趣味で、夫の実家から来る野菜に悩まされていて、長男は元気で暴れん坊で、長女はちょっと反抗期。
そんな、まるでフツウの生活のなかに居る彼女。の、中に眠る「過去」と、その「過去の亡霊」が突きつけてくる現実。

この人の文章って本当に上手だなあと思います。だから読んでいる間はとても面白い。でも、このお話はあんまり好きじゃありません。どこか映画のように不条理な。人生とは不条理だよ、というような。彼女と祖父しか立ち入れない孤独が寂しい。

初出が「小説推理」だというのを見て、ふむふむでは、「Kとはいったい何者か?」ということ、彼の行動を含めて考えると広義のミステリなのかも。

荻原さんの作品のなかでは、一番心に沈む感じがするものでした。トーンは明るいのだけれどもー。
個人的面白かった判定は
神様からひと言>噂=明日の記憶コールドゲーム>なかよし小鳩組>さよならバースディ>ママの狙撃銃>ハードボイルド・エッグ=誘拐ラプソディ
かな?
未読作品も読むつもりー。