「背の眼」 道尾秀介 B+

年末読みました本そのに。ノーチェックだったんだけど、サントリーミステリー大賞で、「九月が永遠に続けば」と競っていた作品のようです。京極夏彦好きならおすすめー、といわれて手を出しました。

一人称は作家本人、というタイプの物語。ホラー小説家の道尾は、ある静かな宿に宿泊した際に、不思議な事象を体験する。その地では、小児連続失踪・殺人事件が起こっていたが、そのこととの関連はあるのか。道尾は学生時代の友人に相談に訪れる。かの友人・真備は、「霊現象探求所」なるものの所長になっており・・。

で。
気が弱いワトソンな作家と、特徴的で友人の少なくファンは多そうな探偵役。その構図以上に、「心霊現象とはなにか」などを真備氏がとくとくと説明する雰囲気が、(特に初期に)京極シリーズに相似していて、懐かしく面白く読みました。ただ、ものすごく奇抜な論理とか、新説が開かれるわけではないので、そのあたりミステリの解決されるカタルシスとかでもっと補ってくれていたら、よかったのになー、なんて。
選考会のコメントを読むに、もっともっと「とくとくと解説」場面が長かったものと思われます。その辺り残っていたら、ますます京極だったんでしょうね。

ホラー&ミステリ&”解説”の要素が好きな人にはおすすめ。普通に面白かったです。