「囁く谺」 ミネット・ウォルターズ B

あまり翻訳ものは得意ではなく、数も読んでいません。が、「女彫刻家」「氷の家」は、親が面白いー!といっていたのをそのまま借りてよんで、面白いー!と感じた記憶が濃厚でした。(映像的にも精神的にもグロテスクなものを多く含みますが、物語に流される圧倒感がすばらしいかったです。)

そのあと、文庫で読んだ何かがあんまり面白くなくて(多分「昏い部屋」?)、ややがっかり・・でいたのですが。
今回はずーっと引き込まれっぱなしでした。
物語の発端はホームレスの餓死。その事件を取り上げようとする記者と、その彼が死んだ敷地の持ち主である美しい女性、ホームレス仲間の少年など、いろんな人間が絡んできて最初は物語がどう転ぶのかよくわからない部分もあるのですが。
「彼はいったい誰だったのか?どうしてそんな死に方をしたのか?」
という「なぜ?」が生まれたら、そこからはずーっと面白かったです。

解決の部分については、納得!という感じではないし、推測に基づく記述も多いのですが、それでも幕切れが良かった成果、読後感はよかったです。

しかし、原題「The echo」の方がシンプルで素敵ではないか。それでも題名の意味がストレートにはわからないけれど。(詩的で無い人間なのねきっと)