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「此処彼処」 川上弘美 B
一番最初に心臓をつかまれたころと、今の自分の距離を感じることがここしばらくで、なんどかあって。違う自分で、この人がすきだなと思えるのが嬉しい。そんな感じの、安定した温度のエッセイ。
今回は、タイトルが地名になっています。穏やかな、他人を攻撃しない空気が、いいなあ、と思います。いいなあ。(うっとり)こういう恋心は、ただ浸るだけで気持ちの良いもの、何かを奪い取りたい攻撃を誘発しないものなので、いつでもうっとりです。でも穏やかなので、忘れているときはずーっと忘れています。
このかたのエッセイのなかでも、かなり好きな「ゆっくりさよならをとなえる」と、同じ温度でした。
ああ、いいなあ。