しゃべれどもしゃべれども」 佐藤多佳子 B+

「神様のくれた指」が、不均衡な部分も感じながら、すごく好きだったので、いつか読もうかなーと思っていました。26歳、噺家さんのお話。でっかくて不器用な主人公が、本人の意図に反して、落語を教えることになってしまう。まだ二つ目で、自分自身もまだまだ精進しなきゃと思ってて、好きな人にはうまく口を出せなくて、教える落語は思うようにいかなくて。

噺家さんのお話といえばドラマの「晴れときどきかみなり」と「タイガー&ドラゴン」。そのどちらにも通ずるものがある爽やかなお話でした。最後のもりあがりは否応無しにぐっときたし。(なるほど子供を使うのはずるい、というのを実感しもしたけれども)

以下もうすこしネタバレ感想。
黒猫」さんが登場したとき、これは最後に好きになるか付き合うかする相手なのかー、というのが見えすぎてしまったので、そしてそれがそのまま大オチになっているのはちょっと物足りなかった。話の一番の感動は、結局子供=村林の落語と、彼自身が乗り越えたものになっていると思う。
でもまあいいか、と思う。ちょっと爽やかすぎるから、ドラマにするならNHKむけ(もうなくなっちゃうらしいけど11時代のとことか)だなーとか思いながら読んでいました。眉目秀麗な人物が多いから、ドラマにもしやすかろう。