「パズラー」 西澤保彦 B


シリーズものでない短編集。
大好き大好き、ほどではないけれど普通に好き。
華やかさよりも整合性、ちょっとひねくれた機能美、が好き。
短編は、それが際立つので、鮮やかさがうまくいけばいくほど鮮やかに見える、はず?
見せる時間の短さも、トリックのひとつの手品みたいに。


このひとの口には出さないけれど人は頭のなかでこんなことを考えています、の表現が好きなんだなー、と思う。
蓮華の花の話は彼らしいメロウさが綺麗に出ていると思う。身勝手で、時々流されて、偶然で、思い違いで、血がつながっていようとうざったいものはうざったく、けれど心底強いものも幻ではなく存在する。ニンゲンそのものへのアイロニーと愛情が同時に在る、そんな感触。