「名探偵 木更津悠也」 麻耶雄嵩 B+


「香月による、名探偵=木更津萌えのための一冊」
みたいなことばをネット上で見ましたが、まさにそんな感じ。
月氏、ゆがんでます。ゆがんでるのが、さらっとこの一冊だけ読み流すと気づかれなさそうでまた、ゆがんでる。連作短編で、四編のうち三篇はすでに雑誌で発表されたものです。連作をつなぐキーワードもなかなか面白い。「大きなしかけ」はないのですが、綺麗にしあがった中篇、という印象を受けました。私もまやゆーには過大なる期待をするタイプの読者なのですが、まあ「大きな物語」は、きっと書き下ろしのときにね。(期待)「蛍」が楽しみです。

遠い昔に「翼ある闇」を呼んだときのことを思い出しながら読みました。読み返したくなりました。それにしてもゆがんでるよ香月。木更津はまるっきり気づいて無いのか。そんなに天然なのかー。(名探偵は多く天然気質だけども)それとも、そこになんらかの愛か打算があるというのか。気になるなあ。


読み終えてから「折り返し」と「タイトル」についてしみじみと、またその歪みを堪能するのだった。「メルカトルと美袋のための〜」に並ぶ良いタイトルだ。