「石の中の蜘蛛」 浅暮三文 B-


これで賞をとったグレさんの作品。五感シリーズの三つ目?「聴覚」を扱ったもの。
なるほど、これで評価されるというのはわかるなあ、と思った。夏の、暑さだるさからだの重たさ、は「照柿」にならぶうっとおしさ。よんででちょっと船酔いみたいになりそうでした。が、それも筆力。読後感は悪いけど、面白い作品でした。

このひとの一見くどくどしい、言葉そのものが音や色を吐き出しそうな表現はすごいなーと思いつつ、疲れているときは頭のなかに入りません。すごく小説の現代アートみたいで好きなんだけど。
そのせいなのか、「視覚」の二作目「左眼を忘れた男」がどーしても読めなくてどーしても終わらなくて、まだもったままで一年以上居るのですが。
三つのなかでは「嗅覚」の一作目「カニスの血を嗣ぐ」が一番好き。で、「触覚」をあつかった最新作をどっかで褒めてたから、よみたいなーと思うのだった。