「ナニカアル」 桐野夏生 B+

ナニカアル

ナニカアル

林芙美子について。
「放浪記」読んだくらいの知識でも面白く読めます。
しかし不倫は性に合わない。

作品は、林芙美子の縁者の手紙のやりとりではじまる。
芙美子の夫が亡くなった後、芙美子の未発表原稿のような、手記のようなものをが発見された・・というもの。
そして、その手記こそがこの作品の核。
時代は大戦のまっただなか。この頃の小説家が、軍の指図で戦地に赴き、士気をあげるための文章を書かされていたなんて、全然知らなかった。
作中の芙美子は奔放で飢えている。一番欲しいものが手に入らない状態。
読んでいて苛々する自分勝手さ。
苛々させられるくらい、作者が林芙美子と合体してて、その日記を覗き見ているような気分になりました。
てか、やはり不倫は性に合わない。なるべく縁なく過ごしたいものです。

<脳内リンク>
→「放浪記」 林芙美子
 これは文句なしに面白いと思う。やっぱり自分勝手だし。
→「IN」 桐野夏生
 感想文をいろいろ読んでいても、この作品を思い出す人は多いよう。
 「ナニカアル」が面白かったらいいのではー。