「星間商事株式会社社史編纂室」 三浦しをん B

「風が強く吹いている」以来ちょっと見直した(えらそう)感の強い方だったので、読めるものは読んでいます。
(「月魚」「まほろ軒」「仏果を得ず」程度。)
最初にタイトル見たときに「星」の字のせいか、「なんかきらきらしてる話っぽい・・」と敬遠しかけたのですが、そういう心配はありませんでした。
とある商事会社のOLさんが主人公。30代。企画部で結構頑張ってたんだけど、疲れてしまって、次の華々しい企画を辞退したところ、配属されたのが「社史編纂室」。どうみても斜陽な配置。一緒に働くのは、全然仕事のできない課長・ヤリチンな秘書室ながれの男の子と、お菓子をぱくぱく食べてる肉感的な営業部ながれの女の子。そして誰もみたことのない部長。
全然進んでいない社史編纂をテンションあがらずにすすめる傍ら、主人公の幸代は立派な腐女子として、同人誌をつくってはBL本をせっせと売るのでした。
しかしそんなある日、会社でこっそりコピー史を刷っていたら・・。という冒頭でかなりあっけにとられました。いやはや腐女子30代女子の生態としてはなかなかさすがにリアルな感じ。女の子3人で学生自体からサークル運営して合同誌を作っているメンバーも、一人は主婦となり二人の子持ち。一人はまったくオタク趣味をしらない彼氏にプロポーズされ中。主人公は「ふらふらしているが生命力だけは強い」フリーターで旅好きの彼氏と同棲してるけど求婚の気配はなくほっとくとすぐふらふらと旅に出かけてしまうし・・というところとか。怖い怖い。
お話は主人公の同人生活・恋人との生活の軸と、
社史編纂のなかから浮かび上がる「過去の秘密」の軸の2つ。
ちょっとロマンチックに過ぎる嫌いはありますが、NHK土曜ドラマの枠とかでやりそうで怖い・・・。とか思うのでした。