「ボトルネック」 米澤穂信 B-

「青春とは、痛いものである。」
というのがこの方の世界だと思うのです。
で。「さよなら妖精」の痛さは、やや遠くて想像が出来ず。
「犬はどこだ」の痛さは、すがすがしい前向きな痛さで、むしろ好きで。
今回のお話が一番痛かった。
最後の、リドル・ストーリーのような、「さて、それから彼は?」の命題。


読み終わって、何故か連想するのが、「舞台の上」。
登場人物はたった二人、「僕」と「サキ」だけ。
あとは、共通する人々も、彼らが説明するだけのような不思議な「ふたりだけ」感。
「僕」と「サキ」が平行世界に一人ずつしかいないことを思えば、鏡をはさんで、「ひとりだけ」いる感じ。


「良い姉を書いた話だ」と思うか「あの姉うるさいよ」と思うかで、随分評価の変わりそうな。


「さて、それから彼は?」


私は最初、痛いほうだけを想像しました。
最後のメールの一文、それだけがスポットライトを浴びて光るように。