「光源」 桐野夏生 B

低予算で邦画をとることになった。その企画者、撮影者、監督で脚本家、主演俳優、助演女優、それぞれの立場でその状況を見る小説。
それぞれのエゴが見え隠れして、どろどろ。誰にも感情移入したくないどろどろさ加減、なんだけど、坂を転げ落ちるタイプの小説だから先が読みたくて仕方がなくなります。
着地点は、少し驚きました。そっちに主観を最後、もっていくなんて、という。

ところで、このとられる「映画」。カメラと、フィルムが一本。それに映る風景。すべて撮り終えたあと、男は自殺する。
脚本を書いた男の、親族の実話をもとにしたその映画。に「似合う」といわれた男優が、なぜか寺島進に見えてしまい、そこから動けなかったので、微妙な違和感が。というのはこの人が主演の映画「幸福の鐘」が、作中の映画のの内容とダブって見えたせいだと思うのです。が、寺島さんのドキュメンタリとかインタビューとか見てると、すごいテレやさんで、いいひとだから、作中人物と、違うんだけど、違うんだけどー……でもやっぱりイメージに近い?と苦しんでいました。
普通、誰を思い浮かべるんだろう?