「下北サンデーズ」 石田衣良 B-


笑う大天使」の殿下=職業・小説家、は、まさに石田衣良だと思う。
(小説家としての部分が)

なんて思いながら、ドラマの元ネタ。
今まで、石田氏の小説で気にいったものに、三人称があまりないような気がする。この作品の三人称も、どこかあらすじをそのまま読んでいるような、不思議な感じがする。嫌いじゃないんだけど。もっと細かいディティールを読みたかったような。比較して思い出すのは、「チョコレート・コスモス」なわけだけれど。

演劇といえばなんといっても「ガラスの仮面」。あの作品が楽しいのは、劇中作が素敵なのと、劇にとりくむ表現が、具体的に見せられて、魅せられるところだと思う。そういう意味では、「下北サンデーズ」は、小劇団と劇団の街がテーマなんだけど、「演劇」は、脚本の面白さの外枠を、ちらっと見せられているだけな気がして、なんだかじらされている気がした。というか、「演劇」や「舞台」そのものが、不思議にハリボテのような。劇団員さんたちは本物っぽかったけど。つまり、アイドル(良い意味で)里中ゆいかの、サクセスストーリーだったのかなー、と思う。もっと「演劇」「舞台」の部分を書いた物語が読みたかったです。


ドラマのほうが、固有名詞をそのまま使っている。ということは、最後の演劇祭とかはどうなるのかな?