明日の記憶」 荻原浩 A


話題になるのがよーく理解できる良い作品でした。切ないけど悲しいけど。
日記が非常に上手い。
その後読んだ初期の作品と比べても、上手になられたんだなー。て感じがすごくします。すごいすごい。
「文章」としての凄みを感じたので、映画は見なくても良いことになりました、私としては。

一番好きなのは怖いけれど、繰り返し同じことを書いている日記。それから、最後のおかしな晩餐→つり橋の場面。残酷だけれど。恐怖を、かなり自分に引き寄せて書いているだけの、作者の身を削った感を感じた気がします。


荻原さんの作品は、いろんな色合いがあって、バラエティに富んでいる。
でも、その中に、いつも自分を人柱みたいに沈めている、と思う。


宮部みゆき女史は、まったく自分の影を消している気がする。
恩田陸女史は、隠しているはずの姿が、影になって映っている気がする。